桂明日香 『そこは僕らの問題ですから』
- 作者: 桂明日香
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: コミック
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美形と変態、それに思いこみをふんだんにトッピング。
その三つが織りなすハイテンションについてこれますか?
◆あらすじ◆
数々の変態に虐げられてきた女子高生のヤエコは、道ばたでぬいぐるみを拾う。
そのぬいぐるみの持ち主は、超美形だった。
ヤエコは「運命!」と思ったが、その美形はどうやら最近出没する不審者らしい。
その事実を知ったヤエコは変態と戦うことを決意するが…
◆感想◆
最初に読んだときは、勢いに圧倒されてよく分からないまま結末を迎えました。その勢いは登場人物の性格と、描写の濃密さが原因だと思います。今回は、登場人物に注目してみます。
本作の登場人物は、大きく分けると三つの要素を持っています。一つ目は変わった性癖です。本作でたくさん出てくる変態のことです。ロリコンだったり、美少年信奉だったり性癖の内容は様々です。
二つ目は美形です。六郎のことです。きらきらオーラを持っています。
三つ目は、思いこみの激しさです。これはヤエコが持っている要素です。人の話を聞こうとしません。一から十を妄想して、それを信じて突っ走ります。
以上の三つの要素を意識しないと、物語の流れが分かりません。自分が一読したときには、思いこみの激しさをあまり覚えていませんでした。変態と美形のインパクトが強くて、それらばかりに意識がいってしまいました。そのため、一つ一つの出来事が唐突すぎるように思えて、混乱してしまいました。
しかし、ヤエコの思いこみの激しさを念頭に置いて読むと理解ができました。ヤエコは六郎のことを、美形だけど自分に害をなす変態だと思いこんでいました。ただ、同居するうちに、六郎が無害な変態であることにヤエコは気づきます。今までヤエコが出会ってきた変態は自分にとって有害でした。そのため、六郎に惹かれ始めます。
というような流れがよく分からず、首をかしげていました。流れが分かると、変態と美形の間でヤエコが暴走する様を楽しめるようになりました。