秋吉由美子 『まつのべっ!』
- 作者: 秋吉由美子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2008/01/08
- メディア: コミック
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記憶では幼馴染との思い出。現実ではそっくりな幼稚園児と女優として活躍する幼馴染。
記憶と現実の間で葛藤する主人公と同じ目線で見られる恋愛物語。
4コマのテンポのよさと、解かれていく物語の融合が魅力的な作品。
―あらすじ―
主人公は幼稚園の新任の先生。
志望したのは、短気だが頼れる年上の幼馴染で、主人公の事を「まつのべ」と呼び捨てにする女の子の影響。
その幼馴染とは小学校に上がると突然いなくなってしまった。
赴任先には幼馴染に瓜二つの園児がいた。その子にも「まつのべ」と呼び捨てで呼ばれ、面影を重ねる事になる…
他方では、女優としてブラウン管に登場する幼馴染を目にする事になる…
―感想―
とても面白かったです。
主人公目線で読めた事がその理由だと思われます。
物語は、主人公と幼馴染が、過去と現在との隙間を段々と埋めていく展開になります。
その展開は一直線ではありません。
序盤には、上記のあらすじで書いた事しか情報が与えられません。
その情報量は主人公と変わりません。
なので、そっくり幼稚園児との出来事に対する主人公の反応が、素直に受け止められました。
中盤から、女優としての幼馴染と再会します。
しかし、二人の現在の立場から、すれ違いが起こります。
最後には事実が伝えられ、すれ違いは解決されますが、その展開には「嘘?」と思ってしまいました。
主人公が記憶をめぐらせるように、私はページを後ろに戻らせました。
分散されていた情報が一気につながるシーンです。
主人公は混乱しながら、疑いを持ちつつも問い返します。
その戸惑う姿が、自分の「嘘?」という気持ちと重なってしまいました。
クライマックスまでのテンポがよく、ページをとめる気にはなりませんでした。
このテンポのよさと解かれていく秘密が同調して、面白さを産む原因となったと思います。