津田雅美 『eensy-weensyモンスター』

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)


「ひとは誰しも心の中に"怪物"を飼っているものよ」


一方は「怪物」の出現に驚く女の子。
他方は「怪物」に乗っ取られた男の子。
両者が絡み合い、本当の自分に気が付いていく。

―あらすじ―

温厚がとりえだと思っている平凡な女子高生。
校内の有名人の友達に囲まれて、埋もれながら過ごしていた。
しかし、彼女はある人物を前にすると、自分の中の「怪物」が出現してしまう。
その人の前で、実際に切れてしまって…

―感想―

ほのぼのとしていて、楽しく読めました。
また、文字が少なくて、すらすらと読めました。


感想は以上です。
嘘です。
本当は、もうちょっと引っかかる部分がありました。
分かりやすい展開の裏にあるテーマを掘り下げてみようと思います。


一番引っかかったのは、通じて描かれている「怪物」のこと。
「怪物」とは、いったい何なのか?ということです。


物語内では、2種類の怪物が描かれています。
1つは、怪物=本性であるような種類。
もう1つは、怪物=構築物であるような種類。


前者は、女の子の方です。
抑えられない、直感的な感情を出すものとして描かれています。
この怪物は、女の子のなりたい姿とは違うようです。
なので、通じて葛藤している姿が見られます。


後者は、男の子のほうです。
周りにちやほやされのぼせあがった状態として描かれています。
つまり調子に乗っていることです。
この怪物は、男の子の本来の姿とは違うようです。
なので、序盤に改心する姿が見られます。


以上のように2種類が提示されています。
このような整理からある考えが出てきました。
それは、怪物が1つの個性の出し方ではないかという考えです。
どちらの怪物も他人に対して攻撃的になってしまいますが、
1つのあり方であるとも思います。
そのようなあり方に気づくからこそ、人が成長するのかもしれません。