宇佐悠一郎 『放課後ウインド・オーケストラ』

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)


「無理に言葉にしなくていいから
今のあなたのその胸の中の感情を
そのまま覚えていられる?」
部活の楽しさが詰まった物語。

―感想―


こんな部活の日々を過ごせられたら、どれほど毎日が楽しいんだろう、って思いました。自分が部活をやっていた時も、楽しかったよなあ、って思っていますけれども、さらにこんなんだったらよかったなあと思えました。


この本のあらすじは、中学時代は無気力だった平音佳敏が高校に入って、一度は廃部された吹奏楽部を初心者ながらも立て直していくというものです。彼は、初心者かつ無気力だったのにも関わらず、リーダーとなり吹奏楽部をまとめ上げていきます。


平音は、本当に地味な主人公だと思います。ルックスがいいわけでもなく、音楽の才能があるわけでもありません。ただ、それにも関わらず、彼は部を再度発足させ、部長として皆を引っ張り、さらにトランペットの腕を上昇させていきます。設定の割にはできすぎな気も否めません。


ただ、だからこそこうだったらよかった思えるのかもしれません。なぜかというと、平音は右も左も分からず、試行錯誤をしているけれども、彼が周りに助けられながら、自分の行動が認められ、上手くいっているからです。もしそうだったら、よかったなあと思えるのです。可愛い女の子、自分を導いてくれるちょっと自信満々な同級生、そして適切にアドバイスをくれる先輩たちと過ごし、その中で自分が一歩踏み出して頑張ったことが「やるじゃん」って認められていく。そうなったら嬉しいし、自分が過ごした時間はすごく楽しかったと思えるのです。


個人的には、クールでストイックだけど、面倒見のいい松田先輩のような人がいてくれたらよかったなあ、と思います。ちょっとつまずいた時に、受け止めてくれて、認めてくれて、その上で背中を押してくれる彼女が、すごく好感を持てました。


以上のように、この本は楽しい部活の時間を提示してくれているように思えました。