やまむらはじめ 『夢のアトサキ』
- 作者: やまむらはじめ
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: コミック
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恋愛は夢のアト?
それともサキ?
狭間に悩み揺れ動く男女を描いた連作集。
―感想―
あっさりと読めたのですが、胸にくるものがありました。
その理由は二つあります。
一つは、心が動く瞬間をうまく表現しているように思えたからです。
憧れに触れ、心が震えたとき。
核心を突かれ、心が揺さぶられたとき。
こういう心が動いた時を切り取り、一瞬の時間を描いています。
その表現方法は目線が鍵になっています。
心が震えたときは、目線が対象に注がれていて、引き込まれる瞬間を表現しています。
心を揺さぶられたときは、目線が定まっておらず、ハッとした瞬間を表現しています。
もう一つは、恋愛のあり方が夢の前後をキーワードとして描かれていると思えたからです。
恋愛だけならば、まるで夢のようで甘いひと時とも捉えられます。
学生の間の恋愛はそうであっても、現実ではそうはいきません。
その現実の先でも恋愛は続けられるか?
という夢のサキに生まれた恋愛、夢のアトにも続く恋愛の対比が軸となるカップルを通して描かれています。
その他にも、夢の前後に関連するカップルや片思いを描いています。
以上のように、夢のような恋愛だけを描いていないのが特徴であるように思えます。