佐々木倫子 『Heaven?』
Heaven?―ご苦楽レストラン (1) (Big spirits comics special)
- 作者: 佐々木倫子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/08
- メディア: コミック
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駅、住宅街、繁華街から遠く、理想のサービスからも果てしなく遠いフランス料理店。
「ロワンディシー」で繰り広げられる良質なコメディ。
―あらすじ―
立地
駅から十五分。住宅街・繁華街から遠い。目の前は墓場。
関係者
オーナー…超利己的。自分が法律。
サービス…四人中三人がフレンチ未経験。
シェフ…勤めた店が全て潰れてきたいわくつき。
以上の素晴らしい条件を兼ね備えた「ロワンディシー」に、主人公の伊賀観は普通のレストランから移ることになる。
―感想―
オーナーに振り回される関係者達が可笑しいです。
でも、それだけじゃないのです。
サービスにおいて重要な事がオーナーからの気まぐれに含まれているのです。
私がいちばん感心したのは、ホスピタリティとスタイルのバランスについての回です。
ホスピタリティとは、手厚いもてなしのこと。
そこから作中では「お客様の満足を考え無料の奉仕をいとわない」とされています。
サービスにおいてホスピタリティは確かに重要な要素です。
しかし、ホスピタリティだけではサービスは成り立ちません。
このことが痛烈に表現されています。
従業員達はホスピタリティを追及するために、お客様の要望にこたえようとします。
しかし、何かが足りない事に気が付きます。
フランス料理なのに箸を使い、コーラや煎茶を飲むお客でいっぱいのフロアに気が付きます。
もうフランス料理屋でなくなってしまい、スタイルに欠けていたのだと気が付きます。
どんな店にしたいかによって、受け入れられる要望が決まってくるのです。
ただ、この回のオチは結局オーナーが決めるスタイル自体がいい加減という脱力的なものでした。
以上のような話が多くちりばめられています。
接客業に、特に外食産業に携わった事がある方なら考えさせられるところがあると思います。
そうでなくても、可笑しい人々たちが繰り広げるドタバタを楽しめると思います。