羅川真里茂 『赤ちゃんと僕』

赤ちゃんと僕 (第1巻) (白泉社文庫)

赤ちゃんと僕 (第1巻) (白泉社文庫)


小学生高学年の子が母親代わり。
けれど彼もまだ子供である。
彼の葛藤と成長を見守ることのできる作品。



あらすじ


拓也は父と弟との三人暮らし。
弟の実はまだ幼児で、手がとてもかかる。
拓也は家事と育児に奮闘することに。



感想


自分がもし同じような立場だったら、ということを考えさせられます。
この作品は拓也の視点で物語が進んでいきます。


拓也は真面目で何でも一生懸命やるという優等生タイプではあるため、実の世話をきちんとやろうとします。
けれども、なかなか上手くはいきません。
実は言うことを聞かないし、自分は頑張っているのに周りの人が母親いないことをいい始めるし…


そうなると拓也は思います。
「なんで僕の気持ちを分かってくれないの」
「自分は頑張っているのに何故責められなきゃいけないの」
大人に説明できるほどまだ言葉に長けてはいないため、ぐっとこらえるしかできません。
しかも優等生タイプであるため、手を抜く事もなかなかできません。
こうなると、内に内に溜め込んでいってしまいます。
そして実と衝突する…という展開になります。


ただ、その衝突の内容も段々と変化していきます。
辛い、嫌だという気持ちから、可愛いという気持ちになります。
実のことをきちんと見る事ができるようになっていくという成長がとてもいいです。
また、その成長はブラコンへの過程ともとれるのですが、それも微笑ましく思えます。


小学生高学年という多感な時期を、幼児との関係という視点から、丁寧に描いた作品です。