村上かつら 『ラッキー Are you LUCKY?』
ラッキー―Are you LUCKY? (ビッグコミックス)
- 作者: 村上かつら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/05/30
- メディア: コミック
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感動できます。
人への一途な気持ちをシンプルに表現すると、こんなにクルものなんですね。
―あらすじ―
父と二人暮しの祐太は、ある日押入れから「犬ロボ」を見つけ出す。
その名前はラッキーといい、亡くなった母を主人としており、母の生前の記憶を持っていた。
家族にラッキーを加えた生活が始まる。
―感想―
第一話から涙がとまりませんでした。
感動できる物語と描写を見せてくれます。
この作品の軸となるのは、ラッキーです。
犬ロボは、主な機能として「主人の模倣」を持っています。
そのためにラッキーの主人であった亡くなった母の面影を、ラッキーが持っていました。
そして、祐太が知らない母の記憶を持っていました。
これだけでもうお腹一杯な気がしますが、まだまだ続きます。
祐太は、厳しい不妊治療の末にようやく生まれてきてくれた子供でした。
よって、亡くなった母は祐太への多大なる愛情がありました。
犬ロボと赤ちゃんの相性が悪いために、祐太が生まれる前にラッキーは電源を切られます。
しかし、祐太の存在とその大きさを主人から聞いていたために、ラッキーは祐太を守るように日々を過ごします。
この上、ラッキーは旧式の犬ロボであるため、バッテリーの替えが存在しません。
つまりロボットであるけれでも寿命が存在するのです。
この事を祐太は知りません。
祐太は、ラッキーがいなくなることはない、と思っています。
一方ラッキーは自分の寿命の事をどこか知っているかのようです。
けれどもラッキーは祐太の側を離れない事を約束します。
ラッキーが、シンプルに描写されているところも、この作品の強みです。
彼は、ぬいぐるみのような外見で、多くの機能が付いているわけではありません。
作中の最新モデルは三ヶ国語を喋れるとか。
ちなみにラッキーは、喋る事も出来ず、五文字ずつの表示しかできません。
けれど、余計なところがない部分がとてもよいです。
人を思う気持ちに余計な飾り言葉がいらないことをよく表していると思います。
以上をまとめると、ラッキーの祐太に対する一途な気持ちがこの作品にはあふれかえっているのです。
本当にお腹一杯になってしまいます。