鳥野しの 『オハナホロホロ』

オハナホロホロ (Feelコミックス)

オハナホロホロ (Feelコミックス)


「やっぱりおうちがいちばん
まっすぐで、温かいです。

―感想―


 女性同士の元カップルと、その片方の連れ子と、その子の父親の元恋人との奇妙な組み合わせでの生活を描いています。家族と言うよりも「おうち」(言い換えればホーム?)を求める真っ直ぐな気持ちが心地よかったです。


 作者は羽海野チカの元チーフアシスタントです。そのせいか、ぱっと見は似ています。何かしら過去にトラウマを持つ登場人物や、デフォルメの仕方、そして時折挟まれる叙情的なモノローグなどは両者に共通していると思います。あとは、表紙でも抱えている犬のぬいぐるみが象徴するような、メルヘンチックなところもそうでしょう。


 けれど、読み終わった感想としては、それほど二人が似ていないような気がします。そう思ったのは、画のタッチがのせいだと考えました。作者のタッチは、全体的に丸みを帯びていて、質感があります。そこから、艶めかしい感じを覚えました。羽海野チカのそれは、細くて淡くて、今にも折れてしまいそうな脆さが内在しているように感じます。このあたりが、物語の方向性の違いにも繋がっていると思われるのでした。